オンラインゲームで「マッチングできない」「ボイスチャットが繋がらない」「特定の相手とP2P対戦できない」場合、NATタイプがStrictになっていることが主な原因です。
ルーター設定のUPnP有効化またはポート開放でOpen・Moderateに改善できます。この記事ではNATタイプの仕組みと、PCゲームで実際に機能する改善手順を解説します。
NATタイプとは何か
NAT(Network Address Translation)は、自宅のルーターが1つのグローバルIPアドレスを複数のデバイスで共有するための仕組みです。
ゲームでは、この変換方式の「制限の厳しさ」をOpen・Moderate・Strictの3段階で表します。
NATタイプでゲームに何が起きるか
NATタイプがStrictだと以下の問題が頻発します。
- フレンドと同じロビーに入れない
- ボイスチャットが相手に届かない・片方しか聞こえない
- P2P対戦で接続が途中で切れる
- マッチング待機時間が異常に長い
これらはネット回線の速度とは無関係です。光回線で100Mbps出ていてもNATタイプがStrictなら上記の問題は起きます。
ゲームが重い・FPSが出ないとは別の問題です。まずPCゲーム問題の切り分け方で原因を確認しましょう。
NATタイプの確認方法
ゲームタイトルによって確認場所が異なります。
- Windows PC(Steam):各ゲームのオプション→ネットワーク設定に表示されるものが多い
- PS5:設定→ネットワーク→状態を見る→NATタイプ
- Xbox:設定→全般→ネットワーク設定→NATタイプ
PCゲームでNATタイプが表示されない場合は、ルーター管理画面のUPnP状態や、Windowsの「ネットワーク検出」設定を確認してください。
Open・Moderate・Strictの違い
3種類のNATタイプには以下の違いがあります。
| NATタイプ | 接続性 | ゲームへの影響 |
|---|---|---|
| Open | 制限なし | 全員とマッチング可・ボイスも安定 |
| Moderate | 一部制限あり | Open同士は接続できる・Strictとは不可 |
| Strict | 強い制限 | Open・Moderateと接続困難・ボイス頻繁に切れる |
Open・Moderate・Strictのゲームへの具体的影響
NATタイプ別に何が起きるかを具体的に解説します。
Openの場合(快適)
ほぼすべてのゲームで問題が起きません。フレンドとのマッチング・ボイスチャット・P2Pホスト機能すべてが正常に動作します。
ルーターのUPnPが有効で、かつゲームのポートが正しく解放されている状態です。
Moderateの問題点
サーバー経由のマッチングは問題ありません。ただし以下の状況で問題が起きることがあります。
- Strictユーザーとのマッチング失敗
- ゲームによってはロビー作成ができない
- ボイスチャットが不安定になるタイトルがある
Moderateは「まあ問題ない」ではなく、Strictとの接続不可が積み重なるとマッチング母数が減ります。ゲームのラグや遅延とは原因が異なるため、両方対策するのが理想です。
Strictが最悪な理由
StrictではOpen・Moderate双方との接続に問題が起きやすく、マッチング率が大幅に下がります。
特にApex LegendsやCall of DutyなどP2Pホストが混在するゲームで顕著です。ホストがStrictだとロビー全員の接続品質が下がります。
Strictの主な原因は「ルーターのUPnP無効」「二重NATの発生」「キャリアグレードNAT(CGNAT)」の3つです。
NATタイプを改善する手順
NATタイプの改善は以下の順で試します。費用をかけずにできる設定変更から始めましょう。
ルーター設定画面にアクセスする
まずルーターの管理画面を開きます。ブラウザのアドレスバーに以下を入力してください。
- NTT/フレッツ系:
192.168.1.1またはhttp://ntt.setup/ - Buffalo:
192.168.11.1 - TP-Link:
192.168.0.1またはtplinkwifi.net - ASUS:
192.168.50.1またはrouter.asus.com
ユーザー名・パスワードはルーター裏面のラベルに記載があります。
UPnPを有効化する(最も効果的)
UPnP(Universal Plug and Play)はゲームやアプリが必要なポートを自動で開ける機能です。多くのルーターでデフォルト無効になっています。
管理画面の「詳細設定」→「UPnP」または「NAT」セクションでUPnPをONにしてください。設定後はルーターを再起動します。
UPnPを有効にするだけでStrictからModerate・Openに改善するケースが最も多いです。
ポート開放・DMZ設定
UPnPで改善しない場合は手動でポートを開放します。ゲームごとに必要なポートが異なります。
- Apex Legends:UDP 37015、TCP/UDP 443・80
- Fortnite:UDP 5222・5795〜5847
- VALORANT:TCP/UDP 2099・8393〜8400・27000〜27100
管理画面の「ポートフォワーディング」または「仮想サーバー」から追加します。PCのローカルIPアドレス(例:192.168.1.100)は事前に固定しておくと管理が楽です。
DMZは特定のデバイスへすべての通信を転送する設定で確実にOpenになりますが、セキュリティリスクがあるため常時使用は非推奨です。
Pingも同時に改善する
NATタイプを改善しても「遅延が高い」場合はPingの問題が別にあります。PCゲームのPing改善方法も合わせて確認しましょう。
有線LAN vs Wi-Fiの接続品質比較も参考になります。Wi-FiからLANケーブル接続に変えるだけでNATタイプとPingが同時に改善するケースがあります。
NATタイプ改善に役立つ機器選び
設定変更で改善しない場合や、ルーターが古い場合は機器の見直しも有効です。
ルーターの選び方
NATタイプ改善を目的にルーターを選ぶ際は以下を確認します。
- UPnP対応(現在ほぼ全機種対応)
- ゲーミングQoS機能(ゲーム通信を優先)
- 管理画面でのポート設定のしやすさ
古いルーター(5年以上)はUPnPの実装が古く、最新ゲームのポート要件に対応できない場合があります。ゲーム向けWi-Fiルーターの選び方も参考にしてください。
Wi-Fiルーターの選び方(Wi-Fi利用者向け)
Wi-Fi接続でオンラインゲームをする場合、ルーターのWi-Fi規格も重要です。
2026年現在ではWi-Fi 6(AX規格)対応機が最低ライン。マンションや家族が多い環境ではWi-Fi 6E対応機も選択肢です。
QoS機能搭載 Wi-Fi 6ゲーミングルーター
ゲーム通信を優先するQoS機能を搭載したWi-Fi 6対応ルーターです。UPnPも標準対応しており、NATタイプをOpenにしやすい設計になっています。
ゲーミングルーターの入門機として価格とコスパのバランスが良く、PC・PS5・スマホなど複数台の同時接続にも対応します。
有線LANに切り替える
PCとルーターをLANケーブルで直接接続することで、NATタイプが改善するケースがあります。Wi-Fiはルーター内部での通信変換が多く、UPnPの動作が不安定になる機種があるためです。
ゲーミングルーターと有線LAN・Wi-Fiの徹底比較も合わせて確認してください。
USB LANアダプターで有線化する
ゲーミングPCにLAN端子がない場合や、配線の都合でLANケーブルを引けない場合はUSBアダプターが使えます。
USB 3.0 ギガビット有線LANアダプター
Wi-Fi接続のゲーミングPCに有線LAN端子を追加できるUSBアダプターです。ドライバー不要で接続してすぐ使えます。
有線に切り替えるだけでNATタイプがStrictからModerate以上に改善するケースがあります。Wi-Fiポートのないノートや薄型PCに特に有効です。
まとめ:NATタイプ改善の手順
NATタイプの改善は以下の順で試してください。
- ルーター管理画面でUPnPをONにして再起動
- 改善しなければゲームのポートを手動開放
- Wi-Fi接続なら有線LANへの切り替えも試す
- ルーターが古い(5年以上)なら買い替えを検討
- マンションでCGNATの疑いがある場合はプロバイダに問い合わせる
NATタイプとPingは別々の問題です。Ping改善の方法も合わせて確認し、ゲーム環境を整えましょう。
PCのゲーム問題を診断したい方へ
ネット環境以外にPCのスペックや設定が原因の場合もあります。PC問題診断ツールで原因を絞り込みましょう。
よくある質問
複数のゲーム機がある場合でもOpenにできますか?
UPnPはデバイスごとに動的にポートを割り当てるため、PC・PS5・Xbox を同時につないでいても基本的に問題ありません。ただし同じポートを複数デバイスが同時に要求すると競合する場合があるため、使わないデバイスの電源を落とすと安定します。
UPnPをONにするとセキュリティリスクがありますか?
UPnPはローカルネットワーク内のアプリからポートを自動で開ける機能です。マルウェアに悪用されるリスクはゼロではありません。ただし家庭用ルーターではルーター自体のファイアウォールが外部からの不正アクセスを遮断します。ゲーム用途での一般的なリスクは低いと言えます。
ルーターのルーターモードとAPモードの違いは?
APモード(アクセスポイントモード)はルーター機能をOFFにしてWi-Fi中継器として動作させる設定です。APモードのルーターではUPnP設定はできません。NATは上流の光回線終端装置(ONU/ホームゲートウェイ)側で行われます。その場合は光回線機器の管理画面でUPnPを設定するか、ルーターモードに切り替えてください。
PS5やXboxでも同じ手順でNATタイプを改善できますか?
ルーター側のUPnP有効化とポート開放の手順は共通です。PS5・Xbox固有の確認ポイントとして、本体設定の「IPv6」対応状況やDNSサーバーの設定も確認しましょう。ルーター設定を変えても改善しない場合はISPのCGNATが原因の可能性があります。
NATタイプをOpenにしてもゲームが重い場合は?
NATタイプはマッチング接続の成否に影響しますが、ゲームのフレームレート(FPS)や動作の重さはグラフィック設定・PC性能の問題です。PCゲーム問題の原因別対処法で確認しましょう。
NATタイプを改善してゲームを快適にしよう
NATタイプのStrictは設定変更だけで改善できる問題です。
まずルーター管理画面でUPnPをONにして再起動。それでも改善しない場合はゲームのポートを手動開放してください。Wi-Fi接続なら有線LANへの切り替えも有効です。
ルーターが5年以上古い機種の場合は、UPnPの実装自体が古くゲームのポート要件に対応できていない可能性があります。最新のWi-Fi 6対応ルーターへの交換を検討しましょう。
