ゲーミングPCの値段は高くなっているため、できれば長く使っていきたいと考えるでしょう。しかしパーツの故障なので、思うように扱うことは難しいものです。
初期不良などを除けば、ゲーミングPCは長く使えます。そのために一番考えておきたいのがパソコンの「熱」。
起動していると思っている以上の発熱になり、熱くなればなるほど各パーツの寿命を縮めてしまうことになります。
今回はゲーミングPCを扱う上で、知っておきたい排熱について解説していきます。ケースやパーツに付属するファンだけで十分なのかどうか、しっかりとチェックしてみてください。
排熱性能が低いとどうなる?
ゲーミングPCのみならず、パソコンは想像以上に熱を発しているものです。
例えばCPUは70度以上の高温になることが多く、使い方によっては90度にも達します。手で触れると火傷をするほど。この熱はパーツの寿命を縮めてしまうことにもつながります。
またゲーミングPCであれば、ビデオカードの熱も気を付けなければなりません。美麗グラフィックのゲームを遊んでいるとビデオカードがフル稼働して、それだけ多くの熱を発することになります。
そのため、CPUやビデオカードをはじめとしたパーツは高温を発することになり、パソコン本体内部の温度も上昇していきます。
熱をあまり発していないメモリやマザーボード、HDDなども、ケース内部が高温になることで異常が発生することも珍しくありません。
そのため排熱性能が低いと、ゲーミングPCが壊れることにつながると言えるでしょう。長く使っていくためには、内部の熱対策をどうするかで大きく変わってきます。
ゲーミングPCの熱対策は大きく2つ
ゲーミングPCはCPUだけでなく、ビデオカードも熱を多く発しますので、パソコン本体が壊れるリスクが高くなります。そのため、高価なゲーミングPCほど熱対策が必須と言えるでしょう。
ここからはパソコンの熱対策について解説します。方法は大きく2種類ありますので、どんな対策があるのか、ぜひ確かめてみてください。
ケース内の熱を外に逃がす
オーソドックスであり基本的な熱対策として、ケースファンを追加してケース内部の熱を外へ逃がす排熱があります。
ファンを使って空気の流れを作り、内側に溜まった熱をケースの外に排出するという方法で、すぐに対策できる方法でもあります。
ケースファンには空気の吸入と排出という2つの役割があります。パソコン本体の背面が空気の排出を担当しており、逆に全面は空気の吸入を担当しています。
冷たい空気を取り込み、内部の熱を外へ排出するという一連の空気の流れが作られていますので、基本的にはどのゲーミングPCも空気の流れが邪魔にならないように設計されています。
しかし自作パソコンや一部のゲーミングPCは、このようなエアフローが整っていない場合があります。例えばサイズの大きいビデオカードが空気の流れを邪魔して、上手く吸入→排出の流れが循環しなくなる場合も多いです。
ケース内部の熱を外へ輩出するためには、ケース内部の構造を確認して、空気の通り道が確保されているかをチェックしましょう。
熱を発するパーツを冷やす
もう一つの熱対策として挙げられるのが、パーツについているファンを増設、またはグレードアップし、熱源になるパーツを直接冷やし温度を上げないようにするというもの。
CPUクーラーはもちろん、ビデオカードや電源ユニットなどは、冷たい空気を取り込んで本体を冷やすという役割を担っています。しかしいずれもケース内部にあるものですので、熱がこもっていると十分な役割を果たしてくれません。
そこで、パーツについてるファンをアップグレードし、そもそも熱が発生するのを抑えちゃいましょう。
CPUの熱対策で言えば、空冷と水冷の2種類があります。空冷は文字通り、冷たい空気を取り込んでCPUを冷やすというもので、水冷も冷たい水を当てて温度を冷ますというものです。
しかし水冷の場合、専用のパーツが多く必要で、配管や水漏れに注意するなど、気を付けなければならいことが多くあります。
見た目は水冷の方がカッコいいのですが、専用のパーツ類を集めるだけでも時間と費用がかかってしまうため、初心者にはお勧めできません。
何よりも、配管に失敗して水漏れを起こしてしまうと、周りのパーツを故障させてしまう恐れがあります。高いゲーミングPCを一瞬でダメにしてしまうため、初心者には空冷をおすすめします。
最近の空冷も、十分冷やしてくれます。なので、まずは空冷ファンのアップグレードを検討してみてはいかがでしょうか。
各パーツの排熱対策
ゲーミングPCは内部にかなりの熱を発します。それは各パーツの性能が高いことが原因で、さらにゲームをプレイするとフル稼働して、発する熱も多くなっていきます。
そこで各パーツの熱対策をしっかりとすることで、ゲーミングPCの故障するリスクを減らすことができます。それらの方法についてまとめてみました。
CPUの場合
ゲーミングPCの熱対策において、一番重要なのがCPUの熱対策です。
とはいっても、最初から取り付けられているCPUファンをそのまま使い続けても問題ありません。オーバークロックなどCPUに高負荷をかけない限りは、十分長く使っていくことができます。
しかしより熱対策を意識したいという場合は、CPUファンを市販の製品に交換することをおすすめします。「白虎」など評判の良いCPUファンが低価格で入手できますので、ゲーミングPCのことを考えると交換して損はありません。
また、その時に意識してほしいのは、CPUとCPUファンに接着しているグリスです。実はCPUファンの性能だけでなく、CPUグリスも重要な熱対策の1つなのです。
CPUグリスはCPUの熱をファンに伝える役割を持っており、グリスの塗らなければ熱対策が完ぺきとは言えません。熱伝導率の高いグリスほど、CPUがよく冷やされますので、見落としてはいけない部分となります。
ビデオカードの場合
ビデオカードの熱対策は、あまり意識する部分はありません。というのも、すでに本体にはファンが搭載されており、これを交換するといった作業ができないからです。
ただビデオカードには様々な製品があるように、それぞれ形状や性能も大きく変わってきます。熱対策を考えるのであれば、ビデオカードに搭載されているファンの数に注目するといいでしょう。
ゲーミングPCに搭載するビデオカードであれば、ファンは2~3個が主流です。さらに近年の製品は、熱の高さに応じてファンの回転数が変わるという機能もありますので、なおさら気にする必要がありません。
しかしビデオカードはサイズが大きいパーツになりますので、ケース内部のエアフローが悪くなる原因となります。空気の通り道を塞いでしまい、冷たい空気がケース全体にいきわたらなくなることも。
取り付けるためにサイズをチェックすると思いますが、合わせて空気の流れも邪魔しないかを考えておきましょう。あまりに大きすぎるビデオカードは、かえって他のパーツの寿命を縮めかねません。
電源ユニットの場合
電源ユニットもまた、排熱のことを考えなくても良いパーツです。
一般的にゲーミングPCの電源ユニットは、本体後方下部に取り付けられているものです。電源ユニット自体にもファンが搭載されていますので、エアフローなどを考える必要がありません。
ただ一部のゲーミングPCで見られる、本体上部に備え付けられた電源ユニットは注意が必要です。上部にあるということは、CPUやビデオカードが発した熱を吸い込んでしまい、電源ユニット自体がうまく冷えません。
結果、電源ユニットがしっかりと性能を発揮しなくなることにつながります。本体下部に電源ユニットがあることは、他にも恩恵がありますので、どの位置に電源ユニットがあるのか、設置するのかをチェックしておきましょう。
ちなみに、エアフローを考えなくていいのは、ファンの交換ができないからです。
熱を極力発生させないようにするためには、そもそも電源効率の良い電源と交換する必要があります。
電源を変えることで驚くほど熱の発生を抑えられたりもしますので、一度検討してみてください。
HDD / SSD
HDDやSSDはそれ自体にファンなどを搭載できませんので、ケース内の温度が寿命を大きく左右します。また、排熱するための機能もありませんので、なおさらその他の部分での熱対策が重要になります。
そのため、HDDやSSDの熱対策で重要なのは、ケースのエアフローと言えるでしょう。排熱する方法がない以上、冷たい空気をあてて冷やすほかありません。
パソコンケースによってHDDやSSDの設置場所が変わりますが、いずれにしてもケース内部の空気の通り道を確保することが最重要です。
ストレージが壊れてしまうと、大切なデータが消えてしまいますので、意識しておきましょう。
まとめ
ゲーミングPCの排熱について解説しましたが、どれをとっても大切なのが、エアフローを確保することになります。空気の通り道を作ってあげることで、ケース内部の温度が下がっていき、各パーツの性能も本来の力を発揮してくれます。
熱はパソコンにとって天敵です。そのため、長く使い続けるためには排熱をどうこうりつよくするのかを考えましょう。
CPUに関しては、CPUファンだけでなくグリスにも注意を払って、効率よくCPUの排熱ができるようにしてください。
あとはこまめなメンテナンスも欠かせません。軽く内部の掃除をするだけでも、大きな排熱対策につながりますので、各パーツに付着したほこりを取り払うのもおすすめです。