ノートPCが熱暴走を起こさないようにするために使用するノートPCクーラーは、対応可能なノートPCのサイズが存在するだけでなく冷却性能が足りていなければ効果が不十分です。
手持ちのノートPCに合ったタイプを選択するためには、対応サイズ・ファンのサイズ・ファンの数・材質・静音性といつた様々な要因を総合的に考えら選ばなければなりません。
総合的なバランスが優れたノートPCクーラーとして次のような製品が人気となっており、比較しながら選ぶことが望ましいです。
CoolerMaster NOTEPAL X-SLIM II
NOTEPAL X-SLIM IIは、最大15.6インチのノートPCに対応する薄型ノートPCクーラーです。
通気性を重視した金属メッシュ構造をしていて、冷却ファンには大口径200mmタイプを1基搭載。ファンの回転数を900rpmと低速に抑えることにより、騒音値を21dBまで下げることに成功しています。
小口径ファンを複数機搭載すると高周波音や共振に注意しなければなりませんが、大口径タイプだからこそ75CFMの風量を確保して冷却性能と静粛性のバランスを取った形です。ノートPCを稼働中に別途AC電源が必要になると、ノートPCクーラーの稼働出来る場所が限定されてしまいます。そこで、USBバスパワー給電方式を採用してノートPCのUSB端子へ接続するだけで冷却ファンが稼働する方式となったわけです。
薄型な構造から必ずしも家庭内やオフィスのみでノートPCクーラーが使用されるとは限りません。背面には滑り止めラバーが配置されていて、ノートPC操作時にファンの振動が原因で動いてしまわないように工夫されています。
KEYNICE 冷却ファンKN-1738
KEYNICE 冷却ファンKN-1738ならば、大小合計6つの冷却ファンが全面に配置されていて、排熱ムラが発生しないように工夫されています。
3つの送風モードと5段階の風量調節により、ノートPCに必要な冷却風量をコントロールすることが可能です。1つの冷却ファンは、最大2,600rpmタイプを採用しているので、やや高音の風切り音がする点は考慮しなければなりません。6つのファンを使った最大風量は、75CFMとノートPCクーラーとしては十分な量を確保しています。
ノートPCごとに異なる高温となりやすい部分は、必ずしも一致しないために個別に狭い範囲を冷却し続けることが重要です。一方、動作音については20dB~30dBという範囲内となっているので、図書館のような静粛性が求められる場所では風量を抑えて使うことが望ましいです。
しかし、KN-1738には前面に温度センサー表示があるので、現在の発熱状況がリアルタイムで分かります。風量調節を風切り音の大きさを見計らいながら行うことで、周囲への影響を減らす工夫が求められます。
Bafangshui PC冷却ファン
大型ノートPCとして知られる17インチまで対応可能なノートPCクーラーです。
大小複数サイズ搭載された冷却ファンは、21dBという静かな空間で使用しても気にならない水準の静粛性があります。本体左右には冷却ファンの回転数を調整可能なスイッチが用意されており、冷却ムラが発生しないようにノートPC側の冷却温度を調整しつつ様子見を行うことが望ましいです。
ノートPCクーラーのファンが複数に別れていて回転数調整が出来る最大のメリットは、ノートPCそのものが底面全体の発熱があるわけではなく、CPUとGPUから伸びたヒートレーン上にある部分からの排熱量が多くなる傾向にあります。
29mmという薄型かつ重量が1.1kg以内という手軽にカバンへ入れて持ち運べるサイズだからこそ、USBバス給電というメリットを活かしてノートPCの熱を効率的に逃がすことが理想的です。ノートPCクーラーからの排熱は周囲へ拡散されるので、一極集中した排熱に悩まされる心配がありません。
Jacess ノートパソコン 冷却パッド 冷却台
Jacess製のノートPC冷却台は、ノートPCを載せた状態で5段階の高さ調整が出来る点が魅力です。
人によりノートPCを操作する際に適した角度と高さは異なります。デスクトップ向けキーボードですら高さ調整を行うにも関わらず、ノートPCクーラーに対して高さ調整を認めないことは不自然です。
耐荷重15kgというメタル素材により補強された冷却台だからこそ、全体へ廃熱処理を行うためにノートPCから排熱された熱量をしっかり逃がすことが出来るかという点がポイントです。他社静音冷却台であっても25dB程度と考えられていますが、20dBという低騒音により安心して継続利用出来ます。
冷却ファン自体に5枚羽タイプを採用し、ボールベアリング機構により耐久性が増しています。ノートPCクーラーは真夏の長時間稼働に耐えられるかどうかが極めて重要だと考えられます。また、外出時にも持ち運び出来るように作られていて、928gというノートPCクーラーの中でも軽量な部類と考えられます。
Cooler Master ERGOSTAND IV
Cooler Master ERGOSTAND IVは、同じシリーズから更に改良された薄型ノートPCクーラーです。
Cooler Masterブランドを冠しているだけあって、140mmサイズの冷却ファンは回転数が700rpm~1,400rpmの範囲で自由に変えられます。ファン風量は46.8 CFMと少ない傾向にあるので、17インチサイズまで対応していてもフラッグシップモデルなデスクノートに関しては能力不足となりかねません。
また、省エネ性能に優れている設計が行われており、消費電力は1Wと極めて少ない傾向です。騒音値が最大29dBと他の利用者へ音により迷惑をかけてしまうかと思いがちですが、冷却ファンそのものが大きいために最大風量での長時間冷却がどれほど行われるのか未知数です。
一方、5段階の高さ調整が行えるだけでなく、USB 2.0 x 4・Mini x 1・Micro x 1というドッキングステーション代わりに使えそうな構造をしています。普段は風量を抑えて静粛性重視の運用を行い、いざという場面では冷却ファンをフル稼働させれば排熱が追いつくという考え方です。
さいごに
ノートPCクーラーは、ノートPC本体の排熱を手助けする役割を持ちます。
対応可能な最大サイズが大きいと、分解して持ち運ばない限りは手軽にノートPCクーラーを持ち運べません。そこで、薄型かつ大口径ファンにより回転数を落として風量を確保しつつ騒音を抑えるという方法が有効です。
一方、ノートPCの発熱場所に偏りが大きい場合には、ノートPCクーラーは小口径ファンを6個程度搭載したタイプが効果的です。つまり、手持ちのノートPCと排熱量に応じてノートPCクーラー選びを行わなければ満足出来る性能を持つ製品とは出会えません。